京都旅行雑記                             2002年12月

 昨年暮れ、お友達の法事に便乗して、初めての京都旅行に行って来ました。京都は修学旅行の定番ですが、私は高校の修学旅行をパスしてしまったので、今まできちんと見たことが無かったのです。年の初めからネタに追われてなかなか整理するヒマが無く、季節はもう春になろうとしておりますが、一応ご報告と言う事で。

 飛行機で伊丹空港に降り立ち、そこからレンタカーで京都へ向かいます。市内に入って真っ先に見えたのが東寺の塔。さすがに京都は違います、千年前のお寺が現代の街の中にそのままの姿で残っているんですから。これからの見聞に期待が膨らみました。

 最初に向かったのが東福寺。このお寺の「通天橋」というのが、テレビの「鬼平犯科帳」のエンドタイトルに出てくると聞いていましたので。なにしろ鬼平は、その監督直々に台本を書いていただいた私の持ちネタ。これは見なければなりません。
 ここは紅葉の名所だそうで、この年は特に素晴らしかったそうです。残念ながら私の行ったときにはほとんど散ってしまってましたけど。でもここは大寺院。他にも、日本一の東司(お寺で言うところのトイレ)や、モルガンお雪の墓所などを見て回り、そこから太閤秀吉ゆかりの方広寺へと向かいます。

 これが大阪冬の陣夏の陣のきっかけになった釣り鐘です。問題の銘文「国家安康」の文字は目立つように白枠でかこってありましたが、そうでもしないと下からでは良く分かりません。家康はあらかじめ銘文の原稿でも手に入れていたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 こちらはお隣りの豊国神社。宝物殿に秀吉ゆかりの品々が納められています。自分が演じているネタにかかわる物も多く、時の経つのも忘れて見入ってしまいました。今まで歴史的な文物など、あまり関心を持たなかったのですが、講談の世界に入って歴史がとても身近なものになりました。おかげでこういう宝物一つ一つの意味が、とても良く分かるようになっている自分に気がつきました。これって一つの進歩ですよね。
 ところで私はここで、えらい失敗をしてしまいました。受付のおじいさんが「紙入れを無くしませんでしたか?」と聞いてくれたのにピンと来ず「いいえ・・」。そのあと車に乗ってかばんを開けると、お財布が無い! このときはじめて「紙入れ」とはお財布のことだと気がついて、あわてて逆戻り。もう受付が閉まるところ、間一髪で間に合いました。親切な方で良かったです。お礼のつもりで、千成瓢箪グッズをいくつかお土産に買いました。

 

 

 

 初めての京都旅行、夜も無駄には出来ないと言うことで、祇園の近くへ繰り出しました。ここは八坂神社。ちょうど高台寺がライトアップして夜間拝観が出来るというので、ここからブラブラと歩いて行きました。
 高台寺は秀吉亡き後の菩提を弔うために、北政所ねねが三江和尚を開山としてむかえたお寺。名勝の池にわずかに残った紅葉が映ってとても幻想的でした。このお寺でねねは何を思って余生をおくっていたのでしょうか。

 

 

 

 2日目は大津へ出て、まず石山寺へ。ここの売り物は、紫式部が「源氏物語」を書いた源氏の間。でもうっかりすると見過ごしそうな小さな部屋でした。そこから三井寺へと向かいます。こちらは天台寺門宗の総本山で、日本四箇大寺の一つ。さすがに見どころは沢山ありました。なかでも、弁慶の引きずり鐘と左甚五郎の龍は、どちらも講談と縁が深いだけに興味津々となってしまいました。これが高座に生かせるのはいつの日か? 写真は「弁慶の汁鎬」の前で、さすがに大きい! 

 

 

 

 

 

 

 大津から向かったのが比叡山延暦寺。ここはすごい、山全部がお寺の境内のようです。とても一日では回りきれませんが、それでも主なところだけはなんとか。写真は横川中堂で。私がネタにしている雲居禅師もここで修業しているので、何かゆかりのものでもと探したのですが、みつかりませんでした、残念。

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終日はまず三十三間堂へ。ここは素晴らしいお寺でした。仏像群も迫力満点。講談にも三十三間堂誉の通し矢という話がありますね。次に向かったのが、石川五右衛門の伝説で有名な南禅寺。でもここはちょっと商売っ気を出しすぎ。三十三間堂が良かっただけに、少々興ざめでした。
 ここから大徳寺へ。ちょうど大河ドラマ「利家とまつ」が放映されていたので、まつゆかりの「芳春院」が公開されていて、ドラマで撮影された本堂や芳春院(まつ)が愛した庭も見る事ができたのは幸運でした。ここから足の向くままに歩いていくと今宮神社に行き着きました。ここの参道にある「あぶり餅」が名物の茶店、ここ実は鬼平のタイトルバックに出てくるところだったんです。偶然とは言いながら、やっぱり鬼平には縁があったのかな。もちろん、あぶり餅はいただきました。

 さて、ほんの3日間ではありましたが、中身の濃い旅が出来たと思います。それに何より、歴史の面白さが分かってきました。京都は是非また行きたいところです。今度はもっと時間をかけてゆったりと、行き先を定めずにブラブラ歩くのも良いなー。これって実はとても贅沢な旅かも知れないですけど。


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