白馬三山縦走記

 とにかく身体を動かす事の好きな師匠は、マラソンだけでなく、毎夏、新潟梅桜亭近くの山にお仲間を引き連れて登っています。私も入門してから越後駒ヶ岳を筆頭に、いくつもの山にお供して来ました。ただ、この登山は日帰りですので、だいたい千数百メートル程度の山ばかり。大変ですけど、それほど怖い思いもせずに済みました。

 ところが昨年、講談塾を主宰していらっしゃる渥美先生ご夫妻の白馬村の別荘にお邪魔したとき、白馬岳の大雪渓に連れて行かれて師匠のやる気に火がつきました。「来年はこの大雪渓を登るんだ!」と。師匠が登る以上、弟子の私もお供しなければなりません。師匠は身体を鍛えているからいいですけど、私は運動してないし、どんどん体重は増えるし・・3000メートル近い山なんて気が遠くなりそう。なんとか逃げたかったのですが、良い口実も見つからないままに、7月26日、公演の終った梅桜亭から白馬村へ。もうこうなったらしょうが無い、覚悟を決めて登ることになりました。

 行程は二泊三日、初めて山頂の山小屋に泊まります。同行は羽野誠司さんと、羽野さんにご紹介いただいた山岳カメラマンの武藤昭さん、アシスタントの桝谷まりさんの五人。渥美ご夫妻は色々と急用があって参加できませんでしたので、もし武藤さんが来なかったら素人ばかりで登るところでした。そうなっていたら遭難してたかも・・!! さて、不安と期待の入り交じった山登りのはじまりはじまり チョーンチョーン。

 7月27日午前8時、いよいよこれから登りはじめます。左から、武藤昭さん、桝谷まりさん、不安げな表情の私。

 

 

 

 

 これが噂の大雪渓。「クレバス注意」の立て札に、ますます緊張。途中には落石がゴロゴロしています。あんなのに当たったらイチコロ!

 

 

 大雪渓の途中で昼食です。この辺りでやっと三分の一。もう私はヘトヘトです。空気もちょっと薄くなってきたみたいで、心臓がバクバク言ってます。でも時折、遠くで雷の音が聞こえるし、落石の来るのも見たし、もう少し安全な所まで行かないと、へたばっているわけには行きません。

 

 やっと大雪渓を登りきりました。師匠は元気! 子供のようにはしゃいでおりますが、私はもう、息も絶え絶え・・・。

 

 

 

 

 

 山頂手前の山小屋で休息です。後ろに見えるのが、今日宿泊する白馬山荘。ここまで来ればもう大丈夫。景色も最高です!
 白馬山荘には信じられないような立派なレストランがあり、雲の上から夕日を眺めて食事を楽しみました。身体もだいぶ慣れてきたし、この分ならもう大丈夫!

 

 

 

 

 

 翌朝、師匠と山頂でご来光を待っています。こんな高いところに、自分の足で登ってきたかと思うと感無量。やればできるもんだ!

 

 

 

 白馬岳から杓子岳を越えて、鑓ケ岳に向かう途中。あの稜線を下りてきたんです。

 

 

 

 

 

 

 最終日、鑓温泉(日本一高い所にある温泉)からの帰路、ゴールはもう間近です。昨日はこの帰り道で、落石に当たって怪我人が出たそうです。私たちの少し前にも、上の道の人が落とした石を足に当てた人がいました。やはり山には危険がいっぱいです。
 でもそんな中を、みんなに助けてもらいながらも、自分の足でゴールできたことは感激です。少しずつでも、休まずに歩き続けていればいつかは頂上に立てる・・これ、芸の世界でも同じことかもしれません。本当に今回の山登りでは、色々なことを勉強できました。こんな素敵な旅に連れてきて下さった師匠に感謝しています。そして、ずい分助けていただいた武藤さん、桝谷さん、有り難うございました。

 

 


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